「希望とともにある礼拝を」
更新日: 2015.06.10
2015年4月19日(日)神戸YMCA総主事就任祝福式礼拝奨励
コロサイの信徒への手紙3章12~17節
12 あなたがたは神に選ばれ、聖なる者とされ、愛されているのですから、憐れみの心、慈愛、謙遜、柔和、寛容を身に着けなさい。13 互いに忍び合い、責めるべきことがあっても、赦し合いなさい。主があなたがたを赦してくださったように、あなたがたも同じようにしなさい。14 これらすべてに加えて、愛を身に着けなさい。愛は、すべてを完成させるきずなです。15 また、キリストの平和があなたがたの心を支配するようにしなさい。この平和にあずからせるために、あなたがたは招かれて一つの体とされたのです。いつも感謝していなさい。16 キリストの言葉があなたがたの内に豊かに宿るようにしなさい。知恵を尽くして互いに教え、諭し合い、詩編と賛歌と霊的な歌により、感謝して心から神をほめたたえなさい。17 そして、何を話すにせよ、行うにせよ、すべてを主イエスの名によって行い、イエスによって、父である神に感謝しなさい。
牧 師 野田和人
神戸YMCA総主事就任式の司式は、ご本人が所属しておられる教会の牧師によるということで、敬愛するIさんの総主事就任式をこの神戸栄光教会で執り行うことのできる大きな恵みを神さまに感謝します。
この時のために与えられた御言葉が、いまお読みいただいたコロサイの信徒への手紙の一節です。この中の最後の節「何を話すにせよ、行うにせよ、すべてを主イエスの名によって行い、イエスによって、父である神に感謝しなさい」との言葉は、実は今年度から始まったこの神戸栄光教会の教会維持献金袋の一番上の所に記されている聖句です。教会維持にはこれだと思ったのです。「何をするにせよ、すべてを主イエスの名によって行う」、そうだ!と。次にまん中にある「愛は、すべてを完成させるきずなです」。
この言葉は例えば結婚式などでよく聞かれる言葉でしょうか。そうです。愛が私たちを完全な調和へと導いていきます。そしてその次にある「キリストの平和があなたがたの心を支配するようにしなさい。この平和にあずからせるために、あなたがたは招かれて一つの体とされたのです」。この言葉は、私たちが礼拝の中で聖餐に-主イエス・キリストの体と血の象徴としてのパンとぶどう酒に与ったあとに行う平和の挨拶を導く言葉です。この言葉に続けて「キリストの平和があなたと共にありますように」、“シャローム”と言いながら、共に礼拝に集い近くに座っている、お互いに知らない方々とも平和の挨拶を交わすのです。初めの二つの節にも、もちろん私たちが心して聴くべきことは多くあり、これら全体は愛において繋がっているものですが、この就任式のためにこの聖書箇所を選んだのは、16節の言葉をIさんはじめ皆さんにお伝えしたかったからです。
「キリストの言葉があなたがたの内に豊かに宿るようにしなさい。知恵を尽くして互いに教え、諭し合い、詩編と賛歌と霊的な歌により、感謝して心から神をほめたたえなさい」。YMCAが単なるYMA(Young Men’s Association)-青年会-と大きく異なっているのはもちろんその間に“C”が入るからですが、この“Christian-Christianity”を根本から支えているものが、この御言葉が指し示している「礼拝」だと思っています。
Christian-キリスト者とは、甦りの主にある希望に生きる存在です。どのような困難にあっても、罪がどのくらい重いのか、愛がどのくらい深いのかを知らない私たちの罪を負い、その愛の極みを示してくださった復活の主にある希望に生きる存在、あるいはその希望を他者へと伝えていく存在です。そしてこの希望と出会う所が礼拝の場なのです。「キリストの言葉があなたがたの内に豊かに宿るようにしなさい。知恵を尽くして互いに教え、諭し合い、詩編と賛歌と霊的な歌により、感謝して心から神をほめたたえなさい」。
私たちは、私たちを神さまと和解させてくださった主の御名によってこの場へと共に招き集められ、御言葉と賛美と祈りによって私たちを一つの体へと固く結び合わせる礼拝を通して慰めと希望を与えられ、その慰めと希望を携えて再び私たちの日常へと、神と人とに仕える生活の場へと遣わされていきます。礼拝と生活は密接に繋がっています。
YMCAの様々な働きに魅せられて、多様な背景を持った人たち、幼子から青年、そして高齢の方々までが共に招き集められ、それぞれの場で、また共同の場で持たれる礼拝を通して隔ての壁を乗り越えて、共に主の平和を生きる希望が与えられる。神さまと自分自身、そして他者との新しい出会いが与えられる。
YMCAは人々をこの出会いへと導く大切な働きをこれまでも担ってこられましたし、これからも着実に担っていかれることと思います。その一翼を担う神戸YMCAの第二世紀の歩みが、新総主事Iさんの下でますます力に満ちたものとなりますよう、神さまのお守りとお導きを切に願い、祈るものです。この働きのために「どうか主よ、おわりまで仕えさせたまえ」と共に賛美をささげましょう。